不法投棄の現状と防止策とは?防犯カメラの活用方法を解説

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不法投棄の発生件数は平成10年代前半と比較すると大幅に減少していますが、近年は横ばいで今もなお私有地・公有地を問わず不法投棄が問題となっています。不法投棄の防止策としては囲いやチェーンの設置などがありますが、特に防犯カメラの設置が有効です。遠隔から常時監視できるシステムなどを導入することで、防犯カメラの効果をさらに高めることができます。本記事では、不法投棄されやすい場所を踏まえたうえで、不法投棄を防ぐ防犯カメラの活用方法を解説します。

日本の不法投棄の現状

不法投棄とは、法令に反する形で廃棄物を捨てる行為のことです。個人が自治体の定めるルールを守らず、家具や家電を公園などに捨てるようなものから、解体業者がトン単位の解体資材を山中に捨てるような大規模なものまで、規模の大小を問わず違法に廃棄物を捨てる行為はすべて不法投棄に該当します。

 

不法投棄の現状について見てみると、投棄量が10トン以上の大規模なものに関しては、令和2年度に判明した不法投棄の件数は139件(前年度比-15件)、不法投棄量は5.1万トン(前年度比-2.5万トン。うち、5,000トン以上の大規模な不法投棄は4件、計3.2万トン)となっています(環境省の調査による)。

年間1,000件を超えていたピーク時の平成10年代前半と比べると大幅に減少していますが、悪質な不法投棄は未だに後を絶たない状況です。

 

小口の不法投棄については正確な件数は把握されていないものの、自宅の敷地内にゴミを投げ入れられるなど悪質な事案は後を絶たず、社会問題の一つとなっています。

出典:環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和2年度)について」

不法投棄されやすい場所

不法投棄は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により禁止されており、当然のことながら罰則の対象となるため、その多くは捨てても見つかりにくい場所や、容易に投棄できてしまう場所で行われる傾向があります。

例えば、人の目につきにくい見通しの悪い場所、囲いや柵などがない場所、道路沿い、雑草が伸びているなど管理が行き届いていないとわかる場所、すでにゴミが捨ててある場所などが挙げられます。

 

では、こうした不法投棄はどのように防げば良いのでしょうか。

不法投棄の防止方法

小口の不法投棄を防ぐためには、まずは立ち入り禁止の看板を設置したり、車両が不法侵入できないようにチェーンや柵で立ち入り禁止区域を囲んだりするなどの対策をとることが大切です。

囲いがない、雑草が伸びているなど、管理が行き届いていないことがうかがえると、不法投棄の場所を探している個人や悪質な業者から「ここなら捨ててもバレないだろう」と思われてしまい、不法投棄を招く結果となる可能性があります。

しかし、そのような対策をとっても不法投棄を完全になくすことは難しく、雑草の刈り取りや掃除、囲いや看板の設置などだけでは現場の状況を常時把握できません。また、トン単位の大規模な不法投棄が行われるような広い敷地全体に看板を設置したり囲いを作ったりすることは現実的ではありません。

そこで、「防犯カメラの設置」という防止策の検討と導入が必要となります。

防犯カメラの設置

不法投棄現場の監視に活用する防犯カメラにはさまざまな種類があり、効率的に運用するにはカメラの選定が重要です。

たとえば、サーモカメラ、AIカメラなど侵入検知できるカメラの導入や、映像管理システムの選定が鍵になります。映像管理システムにもさまざまな種類や方式がありますが、近年はIoTの普及によりインターネットにつながった監視カメラシステムが増えています。このような監視カメラのネットワーク化の流れの中で一つのトレンドになっているのが、「エッジ録画」と「クラウド録画」という観点です。

以前は、監視カメラの多くがインターネットに接続されておらず、撮影した映像や画像データを、カメラ内部や近くに設けられた管理室等にある録画装置、いわゆるローカルのストレージに保存する「エッジ型録画」が使われていました。そのため、映像を確認する時は、防犯カメラのある現場に行ってSDカードに保存されたデータを持ち帰ってくるか、NVR(ネットワークビデオレコーダー)やDVR(デジタルビデオレコーダー)と呼ばれる録画装置のある場所で映像を確認する必要がありました。

一方、カメラのネットワーク化の流れが加速する中、カメラがルーターやゲートウェイを介してインターネットに接続されるケースも増えてきました。これにより、映像の確認や、カメラ故障の検知、停止した際に再起動させる操作、設定の変更などを、遠隔地から行うことができるようになりました。

こうしたカメラのネットワーク化が進む中で、カメラで撮影したすべての映像をクラウド側に保存する「クラウド録画」も近年広まってきました。

 

「エッジ録画」も「クラウド録画」も、それぞれメリット・デメリットがあります。また、どちらの機能も兼ね備えたソリューションも近年は出てきているので、運用までを踏まえたシステム選定をすることが大切です。

なお、「エッジ録画」も「クラウド録画」については、以下の記事で詳しく解説しています。

不法投棄防止に活用する防犯カメラに求められる条件

防犯カメラは不法投棄を防ぐ/不法投棄犯を特定するために効果的です。防犯カメラを導入する際には、警察に相談するにあたり明確な証拠があることや、故意な投棄であることを証明するといった条件を満たすことができる対策を講じることが大切です。

不法投棄された証拠を映像に収めるためには、防犯カメラに以下の機能が備わっている必要があります。

夜間など暗闇の中でも撮影ができる

不法投棄は人目につきにくい夜間に行われることが多いため、暗闇でもはっきりと撮影できる機能を持つ製品を導入することが重要です。暗視機能としては、わずかな光源を拾って鮮明に撮影する微光監視型と、全く光のない暗闇でも赤外線を用いて撮影できる赤外線暗視型の2種類があります。また、このような機能を持つサーマルカメラ・サーモグラフィーカメラは、近年低価格化が進み、以前は空港警備や国境警備にしか導入出来なかったのが、より汎用的用途に使えるようになっています。

防犯カメラの破壊や盗難がされにくい

不法投棄犯の中には、防犯カメラを見つけると投棄の現場を撮影されないよう壊したり盗んだりする者もいます。手の届きにくい高い位置に設置することや配線工事の工夫などで、破壊や盗難のリスクはある程度低減できます。また、目立つところにダミーカメラを設置し、本物のカメラを別の場所に設置するといった策を講じることも効果的です。

いざというときにしっかりと撮影可能な状態になっている

不法投棄の現場になりそうな場所など、普段はあまり人が訪れないような場所では、頻繁に現場に出向いて映像をチェックできないことがあります。その場合、メンテナンス不足などで実際に不法投棄があったときに撮影できていなかった、というケースも考えられます。

遠隔からでも動作状況を常に確認可能であり、いざというときにしっかりと撮影可能な製品を選ぶことが大切です。

AIによる画像解析が可能

上記の条件よりも発展的なものとして、AIによる画像解析も重要な要素となります。

AIによって録画映像を解析することで、不法投棄しているところをより詳細に把握できれば、その場で音声等による警告を行うなど、よりリアルタイムに、より直接的な対応を行うことも可能になります。AI機能を持ったカメラシステムはより詳細な検知が可能であるため、小口で不法投棄が行われる場所に設置することも有効です。

不法投棄の防止に成功した防犯カメラ活用例

防犯カメラの活用例としては、例えば以下のようなケースが考えられます。

 

  • 不法投棄が多い現場にカメラを設置し、カメラが作動していることを知らせるステッカーを貼ったことで抑止効果が働き、不法投棄を阻止できるようになった
  • 頻繁に不法投棄される現場にネットワーク型のカメラを設置し、24時間いつでも遠隔から状況確認できるようになった

 

さらに、防犯カメラで撮影した映像を管理・閲覧するためのシステムであるVMS(映像管理システム・ソフトウェア)を使えば、カメラのモーション検知や他のセンサーと組み合わせたリアルタイムでの異常検知や通知が可能になり、抑止に加え、事案発生時の即時対応も可能になります。また、カメラに内蔵されたスピーカーを通じて、現地の不審者に向けて遠隔から直接注意・警告を発することも仕組み上可能です。

アムニモの映像ソリューション

アムニモでは、広域に展開する防犯カメラの統一運用を可能にする、映像ソリューションを提供しています。映像ソリューションでは、例えば、カメラの映像データは現場のゲートウェイ上に常時録画・常時監視するエッジ録画方式を採用し、録画映像の管理はアムニモ独自のクラウドサービス型のVMSである「統合ビデオ管理システム」を活用することで、遠隔地からやスマートデバイスで映像を常時確認ができます。また、必要な録画データのみをクラウドを経由して映像管理者・閲覧者のローカル環境にダウンロードすることが可能であり、動体検知やアラート通知の機能により、いざというときに必要な映像をすぐに確認できます。

アムニモの映像ソリューションは、カメラの機器に“縛り”がないため、暗闇でも撮影可能なカメラなど最適なものを選択可能です。また、ゲートウェイ機器は堅牢かつ必要十分な機能を兼ね備えており、屋外でも安定運用できる特長があります。さらに、アムニモでは上記のようなAI画像解析を、カメラの機能やクラウドのリソースに頼らず、現地に置かれた一般的なIPカメラの映像を現地でリアルタイム解析を行う「エッジAI」に最適なゲートウェイ「AIエッジゲートウェイ」も開発しています。これを利用することで、高価になりがちなAIカメラやクラウド上の解析リソース、ストレージストレージリソースに頼らずに、柔軟かつリーズナブルに先進的なAIを用いた監視カメラシステムを構築・運用することが可能です。

 

映像ソリューションの詳細については、以下よりご覧ください。

 

また、以下の資料では広大かつ複数箇所の屋外監視における課題と解決策を解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

防犯カメラ・監視カメラは「設置・録画する時代」から「映像データを活用する時代」へ

私達の暮らしのさまざまな場所で利用されている防犯カメラ・監視カメラですが、抑止力として設置する時代から、映像データを活用する時代へとステージが変わってきています。

その背景には、カメラ性能(目)、インターネット・クラウド・無線通信技術(神経)、AIによる画像解析技術(脳)の飛躍的な向上があります。

アムニモは、過酷な環境にも耐え得るIoTゲートウェイ/ルーターと、IoT及びカメラ運用に最適なクラウドサービスと共に、カメラシステムを構成する“目・神経・脳”の最新技術を取り入れた映像ソリューションを、24時間265日、止まることが許されないカメラ運用を行うさまざまな業種の現場にご提供しています。

「欲しい映像を欲しい時に、欲しい人がリアルタイムで見られるカメラシステム」、「AI画像解析や他システムとの連携もできるカメラシステム」をお考えのお客様にとって、アムニモは最適な選択肢になります。

 

アムニモの「映像ソリューション」についてご興味のある方は、当社お問い合わせフォームより是非お気軽にご連絡ください。

アムニモサイト運営事務局
アムニモ株式会社は、横河電機のグループ会社です。
高い信頼性と運用性に優れた自社開発のIoTデバイスとクラウドサービスを組み合わせ、先進の映像・IoT・AIソリューションの提供を通じ、IoTとAIでつながる世界に貢献していきます。コラムにて定期的にお役立ち情報をお届けします。

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