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瞬低・瞬停・瞬断とは?~発生原因や影響、対策までまとめて解説~

平均すると年間12回ほど発生しているとも言われる「瞬低」や「瞬停」。そもそも瞬低・瞬停・瞬断とは何なのか?その発生原因や影響、対策のポイントまでまとめて解説いたします。

瞬低・瞬停・瞬断とは?

瞬停・瞬断とは

「瞬停」とはごく短時間、瞬間的に生じる停電のことです。どれくらい短時間の停電を指すのかはケースバイケースですが、電力会社では、概して1分未満の停電を指すケースが多くあります。「瞬停」と同様の言葉として「瞬断」や「短時間停電」という言葉があります。「短時間停電」も日本産業規格(JIS)によると1分を超えない供給電圧の消失と定義されており、同じ意味の言葉として扱われるようです。

瞬低とは?

「瞬停」に関連する言葉に「瞬低」という言葉があります。瞬低とは「瞬時電圧低下」のことで瞬間的に電圧が低下する現象で、電圧がゼロになる「瞬停」とはことなります。日本産業規格(JIS)では、「瞬停」のことを「電圧ディップ」と呼称しており、「電力供給システムのある地点において発生し、短時間で復帰する突然の電圧低下」と定義しています。

瞬低と瞬断の違い

瞬低と瞬停は発音も読み方も同じですが、全くの別物です。「瞬低」では瞬間的に電圧は低下するものゼロにはなりませんが、「瞬停」では一時的に電圧がゼロとなります。この違いを意識しておきましょう。

瞬低・瞬停の原因とそのメカニズム

電力会社から供給される電力の瞬低・瞬停の原因

電力会社から供給される電力が瞬低・瞬停を起こす場合その原因の多くは雷です。主に送電線に雷が落ちると瞬停が発生する場合があります。7~8割近くが落雷の影響です。
ただ、他にも台風や暴風雨によって飛ばされたトタンや看板などの飛来物によって電線が切れたり、地震や土砂崩れによって電線が切れてしまうことも原因になります。また、大雪が続き、電線の上に雪が積もるとその重みで電線が切れてしまうこともあります。それから鳥の営巣や車両衝突による電柱の損傷、電柱付近での火災の発生など、さまざまな原因で瞬停は引き起こされます。

瞬低・瞬停のメカニズム

瞬低・瞬停のメカニズムを説明します。発電所で作られた電気は、日本では常に2回線で送られています。2回線のうち1か所で落雷等の事故、故障が起きた場合、故障電流が流れ、電圧が一時的に低下し、この電圧低下は落雷が落ちた個所だけでなく、繋がっているすべての回線で電圧低下の影響が広がります。(送電線Bにも影響がある。)雷が落ちた瞬間に発生し、自動で回復することもありますが、回復しない場合、故障点を遮断機で故障点を切り離すまで続きます。これが瞬低です。継続時間は故障発生から遮断機動作・または自動回復までの間であるため、数十msから最小2s程度です。

その一方で、故障点を持つ回線(送電線A)は、遮断機で全体から切り離された影響で、一時的に電力の供給が断たれた状態になっています。しかし、約1分後には、再送電が開始されるので、この再送電まで続く停電が「瞬停」となります。さらに、再送電がうまく行かない場合、原因が取り除かれるまで「停電」が続きます。電線が切れてしまうような場合では、停電状態になることが多いでしょう。

供給電源が安定的でも事業所内等で瞬低・瞬停が発生する原因

電力会社から供給される電源が安定的であっても、工場等電力を多量に利用する事業者等においては、瞬低・瞬停が発生することがあります。例えば、大電力を必要とする電子機器を動かした際、供給量の不足や電源配線の容量不足により、同一系統に存在する他の機械への電圧が低下し、瞬停を引き起こしてしまうケースがあります。また、電源ケーブルなどの接触不良により瞬停が起こることもあります。特に高圧受電契約を行っている事業者等では、電力を多量に利用しており、電力会社からの電力供給が安定的でも瞬停等が起こるため、注意が必要です。

瞬低・瞬停の影響は?

コンシューマー向けの家電製品などにおいては、製品が自動で再起動したり、電源が切れても壊れたりしないので、一般的に大きな問題が生じることはあまりありません。
しかし、産業用の機器においては、事情が変わってきます。業界やシーン別にみていきましょう。

事務所などのオフィス

オフィスのシーンでは、瞬低・瞬停によりPCやサーバー、ストレージが停止し、メモリデータの破損や機械の故障が発生するケースがあります。特にPCや外付けHDD、NAS等においては、いきなり電源が断たれることで、記憶領域が損傷し、重要なデータの損失にもつながることがあるので注意する必要があります。また、ハードウェアそのものも高額で、故障した際の損失も大きくなりがちです。
また、ネットワーク機器の故障により、通信が切断されるなどの障害の原因にもなります。特にサーバーやクラウド上にデータを保存することも多くなっている現在、ネットワークの経路が遮断されたせいでデータの損失につながることもあります。
他にも、空調・照明の停止といった影響もありますが、あくまで一時的な停止であり、大きな問題にならないケースが多いでしょう。

工場

プロセス制御用PCや工作機、インバーター、モーターなど工場で使われている様々な機械が故障し、生産ラインが止まってしまう可能性があります。特に安全に電源を落とさないとデータの破損等が発生し、システムのログが取得できず、原因解明に時間がかかり、復旧に時間がかかることがあります。それから、機械の故障など実質的な被害は無くても、復旧作業にかかる人件費やラインが停止することによって生じる生産機会の損失により、損害を被るケースがあります。

病院

特に、患者の生命にかかわる医療機器などの電源には対策が必要です。

商業施設

空調・照明の一時的な停止や通信設備への影響が懸念されます。

鉄道

屋外の電源がそもそも不安定になりやすいうえ、モーターが大電流を消費し、磁気ノイズの関係で電圧が不安定になりやすく、対策が求められます。

瞬停の対策は?

瞬低・瞬停の対策

送電、変電、配電等の機能を担う電力流通設備は屋外に設置されることが多く、雷害や雪害、塩害などの影響をうけやすく、特に雷の被害は多いため、各電力会社は様々な対策を行っています。しかし、それでも「瞬停」「瞬低」は自然災害等が原因で発生してしまいます。瞬停によってうけるリスクが大きい場合には、各企業が対策を行うことが必要です。
ただ、その一方、導入コスト面で対策を行えていない事業者も多くいます。対策機器の価格と比べ、瞬低・瞬停の頻度と被害金額が少ないことが理由として挙げられます。また瞬停対策機器にはメンテナンスのコストもかかってくるので、導入の際は瞬停が起きた際の損失と対策機器とそのメンテナンスコストを比べることが重要です。

瞬低・瞬停対策のポイント

瞬低・瞬停対策として重要なポイントは、機器の故障やデータ破損を防ぐため、安全に機器を停止することです。この「安全な停止」をするためにも電力が必要なため、「瞬低」「瞬停」後も機器が動作するよう、ある程度電力が確保しておくことが大切です。そのため、キャパシタやコンデンサと呼ばれる蓄電装置を活用した瞬停対策装置が、多くの事業者で利用が進んでいます。
また、場合によっては電源が復帰したら自動で再起動されないと、現場へ赴く手間が増えてしまうこともありますので、遠隔地で機器を動かしている場合には注意が必要です。

瞬低・瞬停対策装置の種類

瞬低・瞬停対策の装置の多くが、キャパシタやコンデンサと呼ばれる蓄電装置を活用しています。蓄電装置を活用することは同じですが、電力の供給方法の違いから、直列補償方式と並列補償方式が存在します。

① 直列補償方式

低下分の電圧を補う方式です。変化分の電圧を補う形ですが、瞬断・瞬停には対応できません。

② 並列補償方式

系統側を切り離し、キャパシタやコンデンサから直接電力供給します。UPS(Uninterruptible Power Supply)と呼ばれる無停電電源装置などがポピュラーです。

各製品・装置によって補償時間と容量が異なります。瞬低のみに対応した機器から、補償時間が2秒から8時間程度まで様々です。それぞれの用途に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。

まとめ

本記事では瞬低・瞬停・瞬断の意味からその発生原因、影響、対策方法をご説明しました。原因や影響は各事業者や場面で多岐にわたります。特に個別の影響を具体的に整理して、それぞれにあった対策を検討していくことが必要です。

アムニモの瞬停に対する工夫について

アムニモのエッジゲートウェイやIoTルーターなどの製品は、瞬停が起きた際、データの破損を低減し、異常状態のアラートをあげるための工夫がされています。

・デバイスに内蔵されているスーパーキャパシタが10秒から30秒間動作し、オペレーティングシステム全体の電源バックアップを行います。

・ストレージにおいて、プログラムエリアとログエリアを分けているので、瞬停時にプログラムが破損してしまうことを防ぎます。

・起動時にデータチェックを行い、データに問題があれば自動で修復を行います。

・プログラムの冗長領域を用意することで、万が一データが破損しても「機器が全く動かない」という事態を防ぎます。