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屋外に防犯カメラを設置したい 屋外防犯カメラの用途や特徴、設置の注意点を詳しく解説

屋外で防犯カメラを設置して24時間体制で監視をする場合には、屋外用に作られた防犯カメラを使用する必要があります。屋外の過酷な環境に耐える耐水性、耐塵性、耐衝撃性などはもちろん、電源供給、メンテナンス、通信機器といった、カメラ本体以外の設備やサービスについても考慮する必要があります。

本記事では、屋外に設置する防犯カメラの用途や特徴、設置の際の注意点などを解説します。

屋外用防犯カメラの用途

かつて屋外用防犯カメラは、特別な場所で利用されてきました。例えば、24時間体制での警備、監視が必要な重要な施設、河川の24時間防災監視システム、道路や鉄道などの交通インフラの監視システムなどが挙げられます。近年、4K・8Kに代表されるカメラの性能向上や、ドーム型やボックス型よりもさらに小さいモデルの登場、、加えて低価格化などが進み、屋外用の防犯カメラは、さまざまな場所で使用されるようになりました。

家庭の玄関先やガレージ、駐車場、店舗の出入口、住宅街の電柱といった身近な場所にも、見守りの防犯用として屋外用防犯カメラが取り付けられているのを見かけます。農場などでは、農産物の盗難防止以外に、育成状況のチェックのために屋外用監視カメラが利用されている例があります。建築現場では、工事車両や作業員の出入りをチェックするために使用されています。野生動物の行動観察や、人の近づけない高所や自然環境での調査活動のような、防犯、防災とは異なる用途では、トレイルカメラ(動物や人の熱をセンサーで検知して自動で撮影するカメラ。ワイヤレスでソーラー電池式)が活用されています。防犯カメラで撮影した画像は、集中管理室のモニターで見るか、メディアに録画された画像をレコーダーから取り出して確認するのが、以前は一般的でした。現在では、カメラ本体にコンピュータの内蔵されたネットワークカメラ(IPカメラ)が普及しており、屋外で撮影された画像も遠隔地からパソコンやスマホで確認できるようになっています。録画データをクラウドに上げてリアルタイムで解析するようなことも可能になりました。それにより、災害や犯罪の予兆をAIで予測して知らせるといった高度な屋外監視システムも開発されています。屋外用防犯カメラの用途は、今まで以上に広がってきています。

屋外用防犯カメラの特徴

防犯カメラには屋内用と屋外用があります。風雨や太陽光に長時間晒され、昼夜の環境変化に対応する屋外用防犯カメラには、屋内用とは異なる性能、機能が求められます。

〇耐水性、耐塵性
屋外用防犯カメラは、強い風によって舞う粉塵や、台風による豪雨に長時間晒されるため、防塵や防水の対策を考慮しなくてはなりません。そしてカメラ外装の接合部やコネクターの接続部など、しっかりと耐水、耐塵対策がとられていなければなりません。

耐水性、耐塵性は、電気機器内への異物の侵入に対する保護等級として、IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本工業規格)で定められています。保護等級は、IP(Ingress Protection:侵入に対する保護)と、それに続く2つの数値で表します。1つめの数値は「外来固形物に対する保護等級」を表し、0から6まで7段階に分類されています。2つめの数値は「水の侵入に対する保護等級」を表し、0から8まで9段階で分類されています。IP66ならば、耐塵(粉塵が内部に入らない)、耐水(あらゆる方向からの暴噴流に対して保護されている)等級となります。

<防塵性能の等級一覧(0~6)>
IP0x:無保護
IP1x:直径50.0mmの外来固形物まで保護(手など)
IP2x:直径12.5mmの外来固形物まで保護(指先など)
IP3x:直径2.5mmの外来固形物まで保護(工具やワイヤーなど)
IP4x:直径1.0mmの外来固形物まで保護(ワイヤーなど)
IP5x:粉塵が内部に入らず、若干侵入しても正常運転を阻害しない
IP6x:粉塵が内部に入らない

<防水性能の等級一覧(0~8)>
IPx0:無保護
IPx1:滴下する水に対する保護
IPx2:15度傾斜したとき落下する水に対する保護
IPx3:噴霧水に対する保護
IPx4:飛沫に対する保護
IPx5:噴流水に対する保護
IPx6:暴噴流に対する保護
IPx7:浸清に対する保護
IPx8:水没に対する保護

〇耐熱性、耐衝撃性
長時間日光に当たる屋外の装置は、夏場は特に高温状態となります。また、熱を発する設備の監視や、外気温の高い環境へ設置する場合は、レンズや内部の回路などに高い耐熱性が求められます。また、風で何かが飛んできて当たるなど、予期せぬ衝撃にも耐える堅牢さも求められます。

耐衝撃性に関しては、電気機器筐体の耐衝撃性能を表す保護等級として、IECで定められています。保護等級は、IK00(無保護)から、IK10(40cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐える)まであります。

<耐衝撃保護等級(00~10)>
IK00:無保護
IK01:5.6cmの高さから落ちる250gの衝撃に耐える
IK02:10cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える
IK03:17.5cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える
IK04:25cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える
IK05:35cmの高さから落ちる200gの衝撃に耐える
IK06:20cmの高さから落ちる500gの衝撃に耐える
IK07:40cmの高さから落ちる500gの衝撃に耐える
IK08:29.5cmの高さから落ちる1.7kgの衝撃に耐える
IK09:20cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐える
IK10:40cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐える

〇サージ、ノイズ対策
屋外の装置は、雷によるサージや、瞬停、瞬断の影響を受ける可能性があるため、回路の保護やバックアップ電源などの対策がとられています。雷サージの種類は、①直撃雷(電気設備・人体・その他物体などに雷が直撃すること)、②誘導雷(設備近傍の落雷によって発生する電磁界の影響で誘導電圧が発生する雷害)、③設置間電位差(雷によって接地間に電位差が発生する雷害)などがあります。これらの雷害の対策として、避雷器(SPD:Surge Protective Device)を設置すれば、デバイスを雷サージなどの異常電圧から保護することができるようになります。避雷器は、落雷時に電源ケーブルや通信ケーブルを介してデバイスに流入する過電流をバイパスして地面に逃がす働きがあります。

また、カメラやレコーダーが、強い電磁波を発する機器の近傍に設置されていると、ノイズが発生することがあります。その場合は、ノイズを発生させさせている機器、もしくはカメラのシステムの位置を変更することで解決することがありますが、電磁的にシールドをするなどのノイズ対策をとることもあります。

〇夜間撮影、画像補正機能
多くの屋外用防犯カメラは、夜間も撮影できるように、赤外線による暗視撮影機能を備えています。この機能があれば、完全に真っ暗な状態でも撮影することができます。昼間は通常通り撮影され、夜間には赤外線により白黒の映像が残ります。最近では技術が進歩し夜間でもカラー映像で撮影するタイプも出てきています。また、カメラの設置場所によっては、太陽の方向により逆光となったり、強い反射光が入り、黒つぶれや白飛びが発生する場合があるので、逆光補正やノイズ除去などの画像補正機能が備わるタイプもあります。

〇広角、望遠レンズ搭載
屋外用防犯カメラでは、広い範囲や離れた場所の画像を撮影することも多くなるので、通常のレンズではなく、広角や望遠のレンズを使用したカメラが使われている場合があります。広角レンズ搭載型は、2.8~12mmのレンズを搭載しているカメラで、1台のカメラで広範囲の撮影が可能となるので、購入台数を減らせるメリットがあります。逆に、望遠レンズ搭載型は、6~50mmのレンズを搭載しているカメラで、撮影範囲は狭くなりますが、遠くをピンポイントで撮影することができるので、例えば、河川の水位監視や、車のナンバープレート認識など、被写体が遠くにある用途で利用されています。

屋外用防犯カメラを設置する際の注意点

屋外用防犯カメラは、人が近づくのが難しい特殊な場所や、遠隔地に設置されることが多くあり、設置する際には注意すべき点が幾つかあります。

〇電源の供給と画像の取得、メンテナンス
監視カメラは24時間連続で駆動するものが多く、電力の供給が課題となります。バッテリー駆動の場合は、定期的な交換が必要になります。また、内蔵されたSDカードに映像データが記録されるようなカメラの場合は、SDカードで使用されているフラッシュメモリーは書き込み回数に上限があり、定期的にSDカードを交換しなければなりません。カメラが高所など容易に近づくことができない場所に設置され、防水加工されている場合は、このようなメンテナンス作業が非常に困難になります。

近くに管理室が設置可能であって、そこから電力と画像用ケーブルを接続できれば、メンテナンスは比較的容易になります。しかし、遠隔地の場合は管理室まで毎回出向くことになり、不具合のあった際にはハシゴを使うなどしてカメラまで近づかなければなりません。

メンテナンス性やデータ取得を容易にするためには、カメラをネットワーク回線に接続し、SSDを搭載したゲートウェイを介してPoEでの給電や、カメラの遠隔操作ができるようにするなどの対策が必要です。

〇カメラ設置場所
カメラの設置場所にも注意が必要です。屋外用防犯カメラはノイズ対策や、画像補正機能などが搭載されていますが、なるべく影響の出ない場所に設置することが望まれます。特に強い電波を出す機器の近くや、レンズに直射日光や強い反射光が入る場所、熱源の近くは避ける方がよいです。

また、プライバシーの観点から、不用意に他人の敷地内や、施設が写り込むような場所は避けることが望まれます。

まとめ

屋外用防犯カメラは、より高画質で低価格なものや、小型なものが増え、設置も容易になっています。ネットワークに対応したものも増えており、遠隔監視、遠隔操作システムを簡単に導入できるようになっています。カメラをネットワークへ接続するのに必要なゲートウェイやクラウド環境、無線通信技術も各種出て、設置後の運用も、以前と比べて遥かに手がかからなくなりました。一度、現在稼働している既存の屋外監視システムを見直してみるのも、1つの手かもしれません。