実証実験レポート:アムニモポータブルAB11を使って展示会ブースの訪問者カウントを試してみた
2025/11/18
目次
第1章. はじめに
どこにでも簡単に設置できるポータブルカメラ「アムニモポータブルAB11」は、イベントの監視用途に最適です。今回は、その応用例として、展示会においてアムニモ自身が出展したブースで、展示物の前に滞在する人数を1分ごとにカウントする実証実験を行いました。本レポートでは、人数カウントの方法と結果をご紹介します。
第2章 アムニモポータブルAB11について
アムニモポータブルAB11は、バッテリー駆動でLTE通信に対応したポータブルカメラです。どこにでも設置してすぐに監視を開始できるため、イベント会場での一時的な監視に最適です。耐環境性能はIP67を満たしており、屋外設置も可能です。

本製品はクラウドサービスと連携して使用する設計になっています。撮影中は録画データをローカルに保存しながら、1分ごとにサムネイル(静止画)をクラウドに送信します。クラウド側ではサムネイルの表示や、必要に応じてライブ映像の取得が可能です。これにより、現地の状況を定期的に確認しつつ、緊急時にはライブ映像で詳細を把握できます。さらに、録画データは後日、無線LANなど低コストな通信手段でクラウドに送信し、クラウド上で視聴や一部切り出し、ダウンロードが可能です。
第3章 実証実験の目的
アムニモ株式会社は、自社が出展した展示会を利用して以下の検証を行うための実証実験を実施しました。
- 目的1:警備目的でイベント会場に設置されることが想定されるアムニモポータブルAB11に、イベント内の特定エリアの人数カウントを行うという付加価値を付ける手法を検証する
- 目的2:アムニモポータブルAB11が1分に1度クラウドに送信するサムネイルに対してクラウドAIによる画像解析を行うという手法について実現性の検証を行う。
第4章 実証実験の装置構成
アムニモ株式会社は、2025年10月1日(水)~3日(金)に東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展(RISCON TOKYO 2025)」に出展しました。2コマ分のブースに3つの製品・サービスを展示し、各展示物の前方を撮影するため、地上約2.5mの壁にAB11を1台ずつ設置しました。設置は、壁に取り付けたL字型金具をAB11付属のクリップで固定し、カメラレンズがやや下向きになるよう調整しました。

ブースパネル上部にL字型金具で固定されたAB11

3つの展示物の前を撮影できるように3台のAB11を設置
AB11は撮影した画像を1分ごとにクラウドへ送信するため、クラウド側には1分間隔の画像が蓄積されます。以下に撮影された画像の例を示します。

第5章 撮影画像のAI解析
今回、クラウドに蓄積された画像をAmazon Rekognitionのオブジェクト検出機能を用いて解析し、人物検出による人数カウントを行いました。Amazon Rekognitionとは、Amazon Web Services(AWS)が提供する画像や動画を分析するためのAI(人工知能)サービスであり、画像内に含まれるオブジェクトや概念(シーンやアクションを含む)を検出してラベルとして出力します。
※Amazon Rekognitionのオブジェクト検出機能についてはこちらを参照
以下に検出された人物を示す画像を示します。

人数カウントを行うために、画面内で検出された人物の数を計測するのですが、画像全体を対象とすると通路を歩く人や向かいのブースの来場者まで検出されるため、特定の領域に限定してカウントしました。これにより、展示物の前に滞在する人数のみを算出しました
なお、これらの処理は後日、手動の作業にて実施しました。処理速度の観点ではリアルタイム解析も可能ですが、実現するためには逐次画像をAIに送信し結果を出力する仕組みが必要となります。今回はそのような仕組みを用意せず、手動で解析を行い、得られた数値はExcelでグラフ化しました。
以下は、検出結果を示す画像と、時刻ごとの人数推移を示すグラフです。傾向を把握しやすくするため、前後2分を含めた5分間の平均値をグラフ化したものです。

3つの展示物について、時間帯によりどの展示物の前に多くの人がいたのかを把握することが可能となりました。
第6章 カウント方法の利点と課題
今回の方法は、イベント会場に簡易に設置可能なAB11の機能を活用し、クラウドAIで画像解析することで、低コストかつ簡単に人数カウントを実現できました。警備目的にとどまらず、統計情報の取得にも活用できることを示しています。
一方で、今回の方法は滞在している人数を1分ごとにカウントしただけであり、実際に何人が展示物を見たかや滞在時間は把握できません。来場者分析を本格的に行う場合はこれらの情報もあった方がよいですが、今回の方法では検出は困難です。
コスト面では、AWSの標準サービスを利用したため非常に低コストで解析できました。例えば、1台のカメラで8時間分の静止画を解析しても、解析自体のコストは数百円程度と想定されます。動画を連続解析する場合と比べ、定期的な静止画を対象にすることで低コストな解析が可能になる点は大きなメリットです。
カメラの設置に手間がかからず簡単に準備ができ、そのカメラによって十分な解像度の画像を撮影することができる上に、解析自体も低コストで実施できるということで、ポータブルカメラをイベント会場に設置する意義をより増加させるような利用方法となっています。
第7章 まとめ
アムニモポータブルAB11は、イベント警備に適した映像システムですが、本実験により、クラウドAIを活用することで人数カウントなどの解析が低コストで可能であることが確認できました。今後は、この技術がどのような用途に適し、利用者にどのような価値を提供できるかをさらに検討していきます。






