警備業界で起こる大きな課題とは?警備業の課題解決方法をご紹介
警備業はハードな労働環境のイメージなどから、人手不足をはじめとする課題が深刻です。そのような課題を解決するためには、少人数での警備を可能とするテクノロジーの活用などが求められます。本記事では警備業の課題や、その解決方法の一つであるAI活用を中心に解説します。
警備業界で起こる大きな課題
工事現場や公共施設など、さまざまな場所にて人々の安全を守るうえで警備員は必要不可欠の職業です。コロナ禍を経て大型イベントの開催が活発になってきたことを背景に、警備員のニーズが高まっています。
しかし、警備業界の需要は高まりつつある一方で、求職者は少なく、人手不足をはじめ警備業界には深刻な課題が数多くあります。
警備業における主な課題は以下5つです。
慢性的な人手不足
1つ目の課題は慢性的な人手不足です。
厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」によると、警備員が含まれる、「保安」の職業の有効求人倍率は6.58倍であり、全体の1.22倍と比べると圧倒的に人手が足りない状況であることがわかります。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」
このような人手不足の原因としては、「肉体労働であるため体力的に厳しく、労働環境が悪い」といったイメージがあることが挙げられます。また、夜間業務も多く生活リズムが不規則となってしまい、場合によっては危険な現場で警備を行うケースがあることも、新規の求人が集まらない要因です。
人手不足であるため教育体制も整わず、新人が入ってもなかなか育たないという問題もあります。
昨今では警備員の高齢化も課題であり、人手不足解消を中心とした対応が警備業界では求められています。
教育時間の不足
2つ目の課題は教育時間が足りないことです。
前述した通り、警備業界は人手不足が深刻化していますが、アルバイトや契約社員など雇用の形態に関わらず、警備業法で「警備員教育(新任/現任教育)」が義務付けられており、すぐに現場には人員を配置できません。具体的には、新人(未経験)は20時間以上、現職でも年度ごとに10時間以上の教育が必要です。また、その教育は警備員指導教育責任者という国家資格を持つ者が担当する決まりもあるため、資格を持つ人員が足りないなどの理由で教育をスムーズに実施できないケースもあります。
そのような背景から、令和元年(2019年)に警備業法の規則が一部改正され、新人および現任の教育時間が短縮されました(たとえば新人の場合、改正前は計30時間の教育が必要でした)。
しかし、慢性的な人手不足が課題となっている警備業では、法改正で教育時間が短縮されても、抜本的な課題解決には至っていません。
労務管理が複雑
3つ目の課題は労務管理の問題です。
警備業では警備員の雇用形態や階級などにより給与が異なり、月払いや日払いなど給与の支払いのタイミングも不揃いであることが多く、労務管理が煩雑になりがちです。また、依然として警備員の個人情報やシフト管理などの作業を書類で行っている事業所も多く、DX推進が後回しとなっている現状もあります。
特に、大きな警備会社ほど、警備員の人数や契約している警備先が多いため、労務管理の業務量は膨大なものとなります。
警備員の高齢化
4つ目の課題は警備員の高齢化です。
日本全体として少子高齢化に伴う労働人口の減少が懸念されていますが、警備業界では60歳以上の雇用割合が約30%と非常に高くなっています※(他の産業は平均で約10%)。後述するように、警備業は労働環境が悪いというイメージがあるため若者が敬遠し、求人を出しても高齢者しか集まらないことが、高齢化が進む要因の一つになっています。警備業は立ち仕事や動き回る仕事が多いため身体的な負担が大きく、不審者への声掛けなど精神的なストレスも高いため、高齢者にとっては健康面でのリスクが高まることが懸念されます。
また、高齢者の体力や健康面を配慮し夜間勤務を外した配置や勤務地の異動など、企業として高齢者雇用を進めるための取り組みを行う必要があります。
労働環境
5つ目の課題は労働環境です。
警備業はシフトの都合上、夜勤や土日祝日の出勤も多く、一般的な会社員などと比較すると生活が不規則になりやすいため、労働環境が悪いイメージが根強くあります。休憩時間などはあるものの、8時間以上拘束されることが多く、立ち続ける時間が長くなったり、危険な現場で警備したりすることも珍しくありません。
また、警備先によっては高価なものを警備する場合もあり、その場合精神的なプレッシャーも大きくなります。労働環境が比較的良い現場や会社もありますが、全体として悪いイメージが強いために新たに警備業に就く人が少なく、さらに労働環境が悪化するという悪循環に陥ってしまう傾向があります。
上記5つのような課題をどのように解決していけばよいのか、次章で具体的に説明します。
警備業界の課題を解決する方法
警備業界の課題を解決するためには、人手を増やしたり従業員の環境・制度を見直したりするなど、働きやすさの改善が求められますが、それに加え、機械警備や監視カメラ・防犯カメラの導入など省人化を実現するソリューションの導入も効果的です。また、今後は警備におけるAI活用が増えていくと予測され、実際にAI導入により警備員の代替を行っているケースも登場し始めています。
以下ではそれぞれの内容を詳しくご紹介します。
求人露出を増やす
警備業界では慢性的な人手不足に加え離職率も高いため、新しく従業員を採用し続けなければなりません。そのため、Webへの求人掲載や求人広告の活用など求人の露出を増やす必要がありますが、求人露出を増やしても高齢者しか集まらない可能性があることは認識しなくてはいけません。
環境・制度の見直し
警備業界の定着率の低さや人手不足の原因として、待遇の不十分さや体力面での不安があります。給与があまり上がらない環境や、肉体的にハードな環境で長期的に働き続けられるかという懸念が人材確保の障壁となっているため、福利厚生の充実などが課題解決の1つとなります。
しかし、福利厚生を充実させることや雇用条件を良くしようとすると、人件費増加につながり、企業側の負担となってしまう恐れがあります。
機械警備・監視カメラ・ロボット・AIの活用
上記の解決方法は人海戦術や細かな改善策であるため、抜本的な解決にはなりません。
そこで有効なのが機械警備、監視カメラ、ロボット、AIの導入による省人化です。たとえば、これまで警備員が行っていた巡回業務を防犯カメラや自走可能な警備ロボットによる「自動巡回」に置き換えることで、複数の現場を少ない人員で担当できるようになります。また、センサーを搭載した監視カメラなどを導入し、現場の異常を自動で知らせる「機械警備」の導入も効果的です。
さらに近年では、AIの活用が注目されています。
AI活用による警備にはさまざまな種類があり、AIを導入したロボットやドローンを導入し、これまで人が行っていた巡回業務を代替させる活用方法や、警備システムにAIを導入し、監視カメラに映った情報のモニタリングや分析などの業務を代替させる活用方法があります。
警備業界において機械警備・監視カメラ・ロボット・AIの活用について触れましたが、実際に活用することでどのようなメリットや効果が得られるのか、次章で説明します。
AI活用による警備に期待できるメリット・効果
警備業務にAIを活用することで、人手不足の解消だけではなく以下2つのようなメリットも得られます。
セキュリティの向上
1つ目のメリットはセキュリティの向上です。
AIによる警備はこれまで人の目で⾒えにくかった部分まで効果的に監視でき、人的ミスが起こる可能性もないため、セキュリティ性の向上が期待できます。また、人手で行うには体力的、人件費的に難しい24時間監視に関しても、AIを活用することでリアルタイムかつ正確に行うことができます。
犯罪・事故の予測が可能
2つ目のメリットは犯罪と事故の予測です。
AIでは、過去の犯罪や事故、不審者の⾏動パターンなどを分析することで、犯罪・事故を事前に予測することも可能です。その分析・予測精度は現在、目覚ましく進歩しており、小さな違和感などに対しても細やかで正確な判断ができるようになってきています。
AI活用による警備の事例
AI活用による警備はさまざまな施設にて既に導入が進んでいます。
ある商業施設では、数百台以上設置されている監視カメラを人手によりモニタリング・管理していましたが、負担が大きく、事件・事故の発生を見逃してしまう課題がありました。
そこで、多数のカメラ映像から、24時間、人工知能(AI)が異常行動や不審行動を検出する、AI警備システムを導入。検知された行動をAIが分類し、アラートにより管理者に自動通知することが可能となり、監視業務の効率化を実現しました。
AI活用による警備を行う際のポイント
AI活用による警備においては、注意しておきたいポイントもあります。具体的には以下2点です。
ポイント①:AIに頼りきりにならず共存を意識する
これまで見てきたように、AIの活用により従来は人が行っていた警備業務を代替できるようになりますが、AIにも対応できる限界があり、AIを搭載したロボットが破壊や盗難などに遭ってしまう可能性もあります。
また、AIの性能が向上しても、不審者への対応など人の⼒でトラブルを解決する場面がなくなるわけではありません。そのため、今後の警備業界は、AIなどの技術と人の力との共存を意識することが重要です。
ポイント②:統合管理が可能な環境を構築する
AI活用による警備と人の共存を実現するためには、AIを導入したカメラやロボットなどを統合管理できる環境を整えることが大切です。
各現場の監視カメラ映像などを統合的に管理できるようにすることで、多数のカメラやロボットを効率的に運用でき、また、事件発生後の迅速な対応も可能となります。
このような統合的な監視・管理体制を実現し、警備業界の課題を解決するソリューションを次章でご紹介します。
警備業界の課題を解決するアムニモのソリューション
アムニモ株式会社では、広域に展開する監視カメラの統一運用を可能にするアプリケーションサービス「統合ビデオ管理システム」を提供しています。アラート連携により紐づいた監視カメラの重要映像を遠隔地からPCなどで取得できるため、多拠点の統合管理・警備業務の効率化が可能です。
また、アムニモでは、監視カメラのエッジによる録画やAI画像解析など同時に実現するオールインワン装置、AIエッジゲートウェイを開発しており、先述した統合ビデオ管理システムと連携することで、ノンストップでの警備業務の運用を実現します。
以下では、AIエッジゲートウェイの概要を動画も交えご説明しています。
また、アムニモ株式会社が提供する「統合ビデオ管理システム」については以下をご覧ください。
AIエッジゲートウェイや統合ビデオ管理システムについて詳しいご説明をご希望、ご相談がございましたら、以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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