防犯カメラにおけるAI画像解析とは?その必要性と具体的な利用シーンやメリット・デメリットを解説

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防犯カメラにおいてAIによる画像解析が近年注目されています。AI画像解析を防犯カメラに導入することで、さまざまな場所で防犯・監視業務をより効率的に行えるようになり、人的コストの削減やトラブル発生時の対応の迅速化などを実現できる可能性があります。本記事では、防犯カメラにおけるAI画像解析の必要性や利用シーンなどを解説します。

 

AI画像解析とは

AI画像解析とは、画像を解析対象とするAIのことです。AI技術を活用することで、効率的に画像を処理することが可能となります。

AI技術の1つとして注目されているのが、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる機械学習の手法です。注目されたきっかけとしては、2012年開催の国際的な画像解析コンテストで、ディープラーニングを活用した機械学習モデルが他のモデルに比べ非常に高い精度を示し、優勝したことが挙げられます。

ディープラーニングは、従来の機械学習モデルに比べてデータ処理を行う階層が多く、処理時間を短縮できる点が特徴です。複雑な判断や繊細な処理が可能であり、一定量のデータから特徴や規則性を自動で見つけ出せるため、これまで人が設計していた学習指示の工数を削減できます。

 

また、「一定量のデータから特徴や法則性を自動で見つけ出せる」とあるように、大量の画像データから分類したいものの共通点や差異を探し規則性を発見することができます。規則性を発見できれば新しい画像を分類するときにその規則に従って分類することができるため、画像解析の特徴量抽出に適しているといえます。

現在では、ディープラーニングの画像解析は様々な防犯用画像解析として活用され始めており、顔認証をはじめ侵入検知、車番認証などさまざまな用途に活用されており、用途ごとに最適化されたAIロジックを利用することで性能向上が期待できます。

防犯カメラにおけるAI画像解析の需要

防犯対策の1つとして防犯カメラの設置がありますが、近年では、AI技術を防犯カメラに取り入れた画像解析に注目が集まっています。

従来の防犯カメラは、何か事象が発生した後に、特定の交通事故における自動車のナンバープレートの特定や、建物等への不法侵入者の追跡などが典型例です。

一方、昨今では、画像解析を行うAIロジックも複数の種類が生まれ始め、そこにカメラ自体の性能向上、画像解析の技術や処理性能の向上、さらにインターネット・無線通信の浸透も相まって、事象をリアルタイムで検出できるようになるなど、防犯・監視カメラにおけるAI画像解析活用の可能性は大きく広がっています。

防犯カメラで撮影された映像のほとんどは「正常状態」の情報のため、警備・監視の目的ではある意味不要なデータといえます。一方、カメラの台数が増えるにしたがって、映像を目で見る「監視」の手間は必然的に増えていきますが、警備業務において、正常か異常かを判別できない状態での警備員の現地派遣は極力減らしたいところです。例えばこのような現状において、カメラにAI画像解析の技術を活用し、現地への人の派遣が必要か否かを事前に判別ができれば、警備業務の効率化と質の向上が期待できます。これにより、「事後確認から発生時のリアルタイム検知へ」というカメラの発展的な運用も可能になっていくと考えられます。

警備以外の用途での監視カメラ+AIの利用シーン

以下では、警備以外の用途での監視カメラ+AI画像解析の活用が効果的だと思われる利用シーンを紹介します。

工場現場

1つ目は、工事現場での活用です。例えば、必要な装備を身につけているか確認する「装備チェック」や、「転倒検知」といった用途での活用が期待できます。

駅・鉄道沿線

2つ目は、駅・鉄道沿線での活用です。具体的には、例えば車椅子の利用者や白杖を持つ人など介助が必要な可能性のある「要支援者の検知」や、「歩きスマホの検知」「踏切での人や車の監視」など、利用者の安全性を高める用途に活用されます。

山間部

3つ目は、山間部での活用です。河川の水位上昇を把握するための「河川監視」や、畑や民家などへの野生動物の侵入を監視する「害獣侵入検知」などが考えられます。

街中

4つ目は、街中での活用です。街中を人手で隈なくパトロールすることは困難ですが、「暴力検知」や「炎・煙検知」などにより、市民の安全を脅かす事態を常に監視できるようになります。また、「通行量のカウント」「滞在人数検出」など、これまで多くの人手を動員して行っていた作業も自動で行えるようになります。

社会インフラ施設

5つ目は、港湾・空港・ダム・上下水道設備などの社会インフラ施設での活用です。これらは市民生活の安全に直結する施設であり、例えば立入禁止区域への不審な人物や車両などの「侵入検知」は活用シーンの大切な1つとして挙げられるでしょう。また「メーター読取」や「ナンバープレート認識」なども、管理業務への活用として有用です。

マーケティングへの活用

6つ目は、マーケティングへの活用です。カメラの映像をAIで解析することで、店舗や商業施設における来客の状況を把握し、マーケティングへ活用することも可能となります。例えば、性別や年代などをAI画像解析で分類できるほか、滞在時間や混雑状況も把握できます。こうした要素をもとに対象となる顧客の行動パターンなどを分析することで、来客の多い時間帯やエリアでイベントを行うなど、効果的なマーケティングが可能となります。

ただし、プライバシーの問題から、防犯カメラ映像をマーケティングなどの防犯以外の用途へ流用することには配慮が必要です。AIによって推定した年代や性別といった属性データだけを取り扱い、実際の映像を送信・保存しないことでマーケティングへの活用ができる可能性が高まります。

防犯カメラにてAI画像解析を行うメリット

防犯カメラにおけるAI画像解析には以下のようなメリットがあります。

警備業務の質の向上

防犯カメラの数が増えていくと、そのすべてを四六時中人の目で管理・監視していくのは現実ではありません。AI画像解析により異常を捉えることで、最終的に人の目で確認、判別する映像の量を減らすことが可能となります。また、事象発生の把握も迅速になり、現地対応の判断やタイミングも早くなり結果として警備業務自体の効率化と質の向上が見込めます。

監視人員不足への対策

上記のように、カメラにAI画像解析を組み込むことで警備業務の効率化と質の向上が見込めると、近年警備業界などで課題となっている人員不足への対策にも有用であると考えられます。防犯カメラを人の目で常時監視するのではなく、AI画像解析による異常の検出を活用することで、警備業務全体の効率化や人員の再配置、最適化に寄与できる可能性が大いにあります。

映像分析や判断の効率化とスピードアップ

従来のカメラ運用では、何らかの事案が発生した際に、録画映像を人の目のみで事後確認し状況を分析、判断していました。ここにAI画像解析を組み合わせることで、AIによる判別を補助的に用いて人間による事象の分析や判断の効率化とスピードアップが見込めます。

これにより、警備業務の効率化と質の向上が期待でき、「事後確認から発生時のリアルタイム検知へ」というカメラの発展的な運用も可能になっていくと考えられます。

防犯カメラにてAI画像解析を行うデメリット

ご紹介したようなメリットある一方で、AI画像解析には以下のようなデメリットもあるため、注意する必要があります。

コストが多くかかる

AI画像解析を防犯カメラに搭載する場合、一般的なカメラよりも導入コストが高くなります。またAI画像解析を行う場合、カメラなどの初期費用だけではなく、AIの機能が異常を起こさないようこまめに動作をチェックする必要があり、そのためのメンテナンス費用もかかります。

プライバシーや個人情報保護に配慮が必要

カメラにAI画像解析を用いる場合、まず、AIロジックを学習するために映像を利用する際に、撮影された人物の個人が特定できるような画像を用いる場合には、個人情報保護法に従って適正に取得した画像を用いる必要があるという点が挙げられます。

次に、実際にAIによって検知された事象に紐づいた個人情報の取り扱いの難しさが挙げられます。例えば、万引きという行為を検知するAIロジックは既に存在していますが、実際の店舗の防犯カメラで万引き行為が検出された場合、その映像を長期的に保存しておき、同じ人物が次回に来店した際に従業員に注意を喚起する、或いは、他の店舗と情報を共有して防御に努めるというような対応が実際に行なわれていますが、この行為は個人情報保護の観点から見ると議論が起こる対応といえます。犯罪抑止と個人情報保護という2つの観点において、公共の利益に則った基準が作成されることが望まれます。

防犯・監視カメラソリューションにおけるAI画像解析の導入なら「アムニモ」へ

アムニモでは、防犯・監視カメラにおけるAI画像解析について、録画とAI画像解析を現場(エッジ)で円滑に運用可能な次世代型のIoTゲートウェイ「AIエッジゲートウェイ」を開発しています。また、複数拠点の監視映像をいつでも、どこからでも一括で管理・運用できるクラウドサービス型の映像管理システム(VMS:Video Management System/ Software)のである「統合ビデオ管理システム」を組み合わせた映像ソリューションを提供しています。

AIエッジゲートウェイは、エッジ側での円滑なAI処理を可能とする機器であり、従来のクラウドAIよりも低遅延のレスポンスを実現し、通信コストなどの削減も可能です。このソリューションを活用することで、上記でご紹介したようなシーンにおける防犯・監視に役立つ運用性の高い画像解析が行えるようになります。

また、認証や人数カウントをはじめ、ご要望に応じたAI画像解析の仕組みを、当社のAI技術パートナー企業やAIサービスインテグレーター企業とともにご提案が可能です。

 

アムニモが提供するAIエッジゲートウェイや映像ソリューション、エッジAIソリューションについては、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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