自治体

IoT防犯カメラ活用で効率的な公園管理・監視の実現へ

“映像をクラウドでまとめて監視できるようになり、
業務効率が格段に上がりました。”

— 豊島区 都市整備部 公園緑地課 酒井 和弘 氏 —
業界
自治体
製品
エッジゲートウェイ(屋外版)AG20 統合ビデオ管理システム デバイス管理システム
使用用途
エッジゲートウェイ(屋外版)AG20 統合ビデオ管理システム デバイス管理システム
課題
  • 既存の防犯カメラはSDカード録画仕様となっており、データの確認作業に時間がかかっていた
  • 実際にカメラが稼働しているかの遠隔での確認が不可能な状態だった
  • 警察から情報を求められた際の動画資料提供に時間がかかっていた
  • クラウドを活用したシステムの新規導入の予算化には自治体ならではの調整が必要だった
導入の効果
  • 遠隔での確認作業ができるため現地へ確認に出向く作業の負担軽減を実現
  • 「統合ビデオ管理システム」で映像をクラウド上で統合監視することで業務効率が向上
  • 警察への動画資料提供までの時間を年間約300時間削減

概要:豊島区公園緑地課の取り組みについて

東京都豊島区は東京23区の北西部に位置しており、池袋を中心とした交通・経済・行政が中心となっている地域として多くの方に知られています。近年では内閣府より、SDGsへの優れた取組を行う自治体として「SDGs未来都市」に選定されるなど、国内の代表都市としてSDGsの新しいモデルとなる持続可能なまちづくりを進めているエリアとしても注目を集めています。

今回は、そんな豊島区の公園等の改修計画、管理、街路灯の維持管理に関する業務を遂行している、公園緑地課公園管理グループの酒井氏にお話を伺いました。「現在、豊島区には公園が163か所あり、街や区、公園以外にも小さな児童遊園等の小規模な公園が多く、維持管理費が高額になる傾向にあります。」と酒井氏は維持管理に関して課題を語ってくれました。街の安全面や維持管理の容易性という点においても防犯カメラの必要性が社会的にクローズアップされ始め、2018年から防犯カメラの設置を開始し、現在では38の公園に防犯カメラが設置されています。

豊島区には繁華街があり賑やかなエリアが多く存在します。これらの人が集まるエリアでは、事件や事故に巻き込まれる可能性もあります。そのため、豊島区では犯罪抑止のためのセーフコミュニティ都市としても力を入れており、世界保健機関(WHO)が推奨する、事故や暴力・けがのない安全・安心なまちづくりの国際認証制度であるセーフコミュニティ国際認証も2012年から継続して取得、警察と連携をしながら防犯活動に力を入れているそうです。

「防犯カメラ設置の優先順位は、陳情数を分析した中で不法投棄、放置自転車・バイクが多い場所や、年間にどれくらいより具体的な陳情としてあがってきているかを加味し、設置箇所や台数を検討している。」と酒井氏は語ります。豊島区では防犯重点地区という特に力を入れて防犯に取り組むエリアがあるため、そのエリアが防犯重点地区に該当するかも確認し、総合的な判断でどこの公園から防犯カメラを設置するかを決めているそうです。また、公衆トイレの悪いイメージを払拭するためのアートトイレを設置しており、それらのアート作品への落書き等抑止のために優先的に防犯カメラの設置もおこなっています。

導入の目的:IoT防犯カメラ、エッジゲートウェイ、統合ビデオ管理システムでの効率的な情報連携

防犯カメラの設置を進めると同時に、担当しているエリア内で事故や事件等の問題が発生した際に警察から情報提供を求められるため、効率的に情報提供をする仕組みが必要となりました。従来は、設置している防犯カメラの録画データを取得するために、カメラが設置されている現場へ出向く必要がありました。そのため、録画データの取得や確認のための往復時間に多くの時間を要し、今後、他の公園への防犯カメラ設置を進めるとなると、防犯カメラを設置する度にデータを取得するための往復時間がかかってしまうという課題を抱えていました。

「今回の『エッジゲートウェイ(屋外版)AG20』や『統合ビデオ管理システム』をはじめとするアムニモの製品・サービスを盛り込んだIoT防犯カメラシステムの一番の導入目的は、録画データ確認等の作業を効率化し、警察への情報提供にかかる時間を削減することです。」と酒井氏は語ります。「今までは録画データを確認するために職員2人がかりで半日時間をかけてSDカードを取り外し、警察の方も同行して録画データを確認いただくという大変な作業が発生していました。」と当時の作業を振り返りました。 加えて、「設置している防犯カメラからSDカードを抜き出した後、データを確認すると映像が映っていなかったことも過去にあり、”稼働状況を確認できない”という点は特に大きな課題でした。」と防犯カメラとしての運用に課題があった点も酒井氏は語ります。

既存の防犯カメラに内蔵しているSDカードの場合、保存量は最大でも1週間とのことですが、防犯などの設置用途として考えた場合、1週間はデータを保存する必要があります。そのため、今回のIoT防犯カメラ利用の提案内容として、SSDとクラウドによって長期間のデータ保存が可能になる点や現地作業がなくなるという点、サムネイル入りのライブ映像が常時確認できるという点はアムニモの映像ソリューションを導入する大きなメリットとして感じていただけているようです。

また、クラウドを活用したカメラシステムを導入する際に、判断の大きな基準のひとつとなるのがセキュリティ面です。導入検討を進める中で、酒井氏はアムニモの映像ソリューションを「暗号化技術も比較的新しいものが使用されていて、ユーザビリティも優れていると思います。統合的に管理でき、とても使いやすいと思いました。」と、セキュリティ面やユーザビリティ面でも高く評価していただいています。

導入の経緯:クラウドを活用したシステムの新規導入の予算化には自治体ならではの調整が必要だった

今回のクラウドを活用したシステムの導入には自治体ならではの苦労もあったようです。「特に新規のクラウドシステムの導入となると、現状課題や公正な比較検討の情報提示はもちろんのこと、カメラに顔が映るため個人情報に関わる箇所の弁護士等からの質問対応、情報管理課に適正なシステムとして承認いただく等、導入までの準備にかなりの時間を要しました。」さらに、「財政企画課に導入するシステムのプレゼンをして納得していただき、最終的に区長に決定頂いて定例議会で予算化していくという流れをとらなくてはならないので、非常に大変でした。」と酒井氏は導入前の予算化に約6ヶ月の時間を要したことを赤裸々に語ってくれました。

導入の効果:アムニモの映像ソリューションを用いたIoT防犯カメラの導入で年間約300時間の作業時間を削減

1.ライブ映像と防犯カメラの稼働状況が簡単に確認できる

以前はカメラのメンテナンスやSDカードに録画されたデータを取得するために、その都度職員が各カメラを設置している公園へ出向いて現地作業をする必要がありました。しかし、アムニモのソリューションを導入することで、映像をクラウド上で統合監視できる「統合ビデオ管理システム」を利用し、10分に1度カメラのサムネイル画像データが管理画面上に自動的に表示されるため、各公園の状況を簡単に把握することができます。そのため、職員の作業時間も大幅に短縮され、年間で約300時間の作業時間を削減することができています。

●タイムスタンプで日時を指定しダウンロードするため、通信費を節約

 

●一定間隔でサムネイル保存瞬時に稼働状況の確認可能

 

加えて、公園内に設置している監視カメラの映像を遠隔地から取得するために有線回線を新たに敷設する場合、一定の期間とコストが掛かります。その点、アムニモの映像ソリューションの場合は、有線回線の敷設工事を行うことなく低コストで監視カメラの画像をクラウド上で統合監視ができるようになりました。

2.コストパフォーマンスの良い効率的な運用が可能

従来のSDカードを利用した監視カメラと、アムニモの映像ソリューションを活用したIoT防犯カメラシステムの費用を比較した結果、費用感はほとんど変わらないことが事前調査で判明しています。また、一般的なクラウド型防犯カメラと今回のアムニモの映像ソリューションとを比較した場合、一般的なクラウド型カメラは保存するデータ量が多くなるにつれ、システム通信料とクラウド利用料の2重のコスト負担となります。

一方で、アムニモのソリューションの場合は、SSDに保存されたデータから必要なものだけをクラウドへアップロードできるため、システム通信料とクラウド利用料の2つの点でコスト効率が非常に良く、IoT防犯カメラを運用する上で、現時点で最も理想的なシステムが構築できたと考えています。

さらにデバイス管理においても、今回導入したシステムは1つの公園に複数台のカメラを設置しても、デバイス管理に関わるライセンスはひとつで足りるため、その点でもコストパフォーマンスが良いと感じていただいています。

●公園管理業務での利活用例①-適正利用が求められるキャッチボール場

 

●公園管理業務での利活用例②-放置バイクが発生する公園スペース

3.警察への情報提供業務の効率化を実現

公園緑地課公園管理グループでは、管理下エリアのゴミの不法投棄や自転車・バイクの放置に対する陳情が多く寄せられます。これらの不法投棄の実態を把握し、改善することに加え、犯罪抑止のため警察と連携をしながら防犯活動をおこなっています。今回、アムニモの映像ソリューションを活用したIoT防犯カメラシステムを導入したことで、以下3つの業務効率を実現しました。

①防犯カメラの稼動を遠隔で確認

②公園管理グループまたは公園管理事務所で要求日時の映像をダウンロードすることが可能

③ダウンロードしたデータをMP4データに変換し、警察に情報を素早く提供

今後の展望:区民の意見や要望を分析し、優先度の高いエリアからIoTカメラ設置の拡大へ

現在、豊島区の公園緑地課公園管理グループでは「統合ビデオ管理システム」によるIoT防犯カメラに加えて、豊島区公園内防犯カメラの位置と画角をGIS(地理情報システム)で一元管理しています。これらの情報と区民の声を収集・分析することで、公園内で必要とされているエリアを特定し、優先的にIoTカメラ設置の拡大を進めていく必要があります。また、このような映像ソリューションを活用し、公園利用における違反行為や違法行為の抑止に繋げ、公園の適正利用の促進に寄与していきたいと思っています。将来的には、IoTデバイスにAI技術を導入し、異常検知やその自動通知機能といった発展的な活用もできればと考えています。

また、豊島区の街の見守りなどのおこなう街頭防犯用途の監視カメラの管理・運用は、危機管理課が司っています。公園緑地課だけではなく、危機管理課など他の課でのクラウドを活用した監視カメラソリューションの横展開も進むと、より効率的な利活用が進むでしょう。

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