SDカードのデータが破損する原因とその対策とは?

SDカードイメージ写真
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SDカードとは、スマートフォンやデジタルカメラの写真を保存したり、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像を録画したりと、様々な機器で使用される記録媒体です。しかし、SDカードの使い方によっては、保存されたデータが破損してしまうリスクが高くなってしまいます。データの修復サービスや復元ソフトなどを活用して対処できることもありますが、一度データが破損してしまうと復元が難しいケースが大半です。

本記事では、SDカードが破損する原因を、SDカードにデータが格納される仕組みから解説し、データを長く安全に保存するための対策までご説明します。

SDカードが破損する原因は?

SDカードとは、スマートフォンやドライブレコーダーなど、様々な機器のデータを記憶する際に使われます。しかし、SDカードは、比較的データが破損しやすい記憶媒体であることをご存知でしょうか。実は、SDカードには、データの書き込み回数の上限が存在し、その上限を超えてしまうとせっかく保存された情報を読み込めなくなってしまいます。SDカードのデータが破損する原因として一番大きいものは、SDカードの書き込み回数に上限があることを知らず、気づいたらその上限に達していたというものです。

また、書き込み回数の上限とは別に、物理的な経年劣化によりデータが破損してしまうケースもあります。どんなに書き込み回数が少なくても、コネクターの接触部分の磨耗や破損など物理的な劣化が原因で、データを表示できなくなってしまうこともあります。

なぜ書き込み回数の上限が存在するのか?

SDカードには、書き込み回数の上限があることから、SDカードの破損が発生してしまうことは説明しましたが、なぜSDカードには書き込み回数の上限があるのでしょうか?その原因はSDカードへデータを格納する仕組みにあります。

SDカードの仕組み

そもそも、SDカードなどのメモリ装置は小さなメモリセルを大量に敷き詰めた構造になっており、各セルの物理的な状態の変化によりデータの記録を行っています。例えばSLC(Single Level Cell)と呼ばれる方式であれば、各セル内の電子の有無を0と1に対応づけます。よって、1つのセルに1ビットのデータを記録することができます。

データの書き込みは、電子をセルの中にある部屋に出し入れすることで行われているのですが、書き込み回数を重ねていくうちに、電子が出入りする膜が徐々に劣化していき、少しずつ電子が漏れ出てしまうようになります。最終的には電子を部屋に閉じ込めておくことができなくなって寿命を迎えます。この膜の劣化が存在するため、書き込み回数の上限が存在するのです。

SLC(Single Level Cell)とMLC (Multi Level Cell)

では、どれくらいの回数であればSDカードのデータを破損させずに使えるのでしょうか?それはSDカードがどのようにデータを格納しているのか、データ格納方法の種類によって異なります。先ほど少し触れたSLC(Single Level Cell)という方式では、一つのセル内に電子があるかないかを判断して、0または1を読み取ります。一方、MLC (Multi Level Cell)という方式では、電子のあるなしを0と1に結び付けるのではなく、電子の量を段階的に変化させることで、1セルに多ビットのデータを記録することができます。

この方式の違いは、書き込み回数の上限の数に影響します。なぜならば、MLCではSLCと比べて微細な電子の量を元にデータを読み出すため、劣化により電子量の誤差が少しでも生まれてもデータを正しく読みだすことができなくなります。その一方でSLCは有または無を判断するだけであるため、劣化により電子量の誤差が生まれてしまっても、大雑把に分かれば問題ありません。そのため、SLCはMLCに比べて書き込み回数の上限が大きく、耐久性は高いです。

 書き込み回数の上限価格
SLC (Single Level Cell)50,000回高額
MLC (Multi Level Cell)3,000回普通
TLC (Triple Level Cell)1,000回低額

それでは、SLCタイプのSDカードを選べばよいと思われるかもしれません。しかし、SLCは産業用の用途では使われますが、一般的な用途ではMLCや、MLCよりもさらに細かく電子の量をレベル分けするTLCが普及しています。なぜならばSLCは高額になる傾向になるためです。SLCでは1つのセルに1ビットのデータしか格納できないのに対し、MLCでは1つのセルに多ビットのデータを格納できます。そのため、同じ量のデータを格納しようと思った際、SLCは多くのセルを用意する必要があり、SLCの価格はどうしても高価になってしまうのです。

ドライブレコーダーや防犯カメラでの利用に注意

データの書き込み回数の上限が、SDカードのデータ破損に影響することをご説明しましたが、具体的にはどのようなシーンで書き込み回数の上限に、気を付けるべきでしょうか?

データの書き込み回数とは、SDカードにデータを保存する、またはデータを上書きする回数を指します。静止画などのデータをSDカードに保存する際は、データの大きさもそこまで大きくないケースが多く、毎日何度も新しい写真データを上書きするようなケースは少ないでしょう。

しかし、注意しなければならないのが、ドライブレコーダーや防犯カメラなど、映像を継続的に録画している装置に内蔵されたSDカードです。このような装置では、映像が常時録画されていますが、データを全てためておくことは現実的でないため、例えば直近1週間程度のデータを保存できるような容量のSDカードが利用されています。このようなケースの場合、すぐにデータがいっぱいになってしまいますので、新しい映像データを、古いデータの上から常に上書きしていく形になります。

SDカードをこのような運用で利用していると、書き込み回数が非常に大きくなるため、あっという間にデータの書き込み回数の上限になってしまいます。しかも、ドライブレコーダーや監視カメラのデータは閲覧する頻度も低く、SDカードの破損に気づけないケースも多々あります。そのため、事件や事故などが発生し、「その時の映像を見たい」と思ったときにはじめて、SDカードの破損に気づくこともあるのです。SDカードは比較的安価なメモリで、ドライブレコーダーや監視カメラなどでも非常に普及が進んでいる記憶メディアであるだけに、より注意が必要です。

他にも、サーバー等の継続的にデータロギングを行うような機器などに利用されている場合にも、上書きの回数が非常に多くなるので、注意が必要です。

SDカードのデータを安全に保存するための対策

では、SDカードのデータ破損をどのように防止すればよいでしょうか?少しでもデータを安全に保存するための対策についてまとめました。

データの書き込み回数を最小限にする

データの書き込み回数を最小限にすることで、SDカードをより長く使うことができます。たとえばSDカードのファイルをPCで編集する際は、SDカードのフォルダ上で編集を行うのではなく、ファイルを一度PCのストレージに移し、PC側で編集してからSDカードの方に戻すことで、SDカードへのデータ書き込み回数を最小化することができます。

SDカードを丁寧に扱う

基本的なことではありますが、SDカードは精密機器であるため、なるべく丁寧に扱うことが大切です。そのため直射日光が当たる場所や湿気の多いところでの保管は避け、衝撃や傷がつかないように気を付けて抜き差ししましょう。また、ほこりが被ってしまうと、SDカードを機器に挿入する際、表面に傷をつけてしまう可能性があるため、注意が必要です。

定期的にデータをチェックする

長期間、書き込みや削除を行っていなくても、SDカードは劣化します。また、頻繁にデータを上書きする際はそのリスクがさらに上がります。SDカードのデータはいつでも破損のリスクがあることを念頭に、データを読み込めるか定期的に試し、重要なデータはバックアップをとっておくことが必要です。また、「読込に異常に時間がかかる」、「データの一部が破損している」など、完全に壊れてしまう前に、故障の予兆が分かる場合があります。その際にはすぐにデータを別のメディアに移行しましょう。

異なる記録メディアを使う

SDカードは安価でコンパクトな記録メディアでありますが、書き込み回数に制限があり、その制限の値が比較的低いため、劣化しやすい記録媒体です。データの書き込み回数が多いケースや長期間、確実に保存したい場合などは、SSDやHDD(ハードディスク)の利用がおすすめです。

 書き込み回数価格耐衝撃性大きさ読込速度容量
SSD×
HDD×××
SDカード××

例えば、デジカメやスマートフォンの写真などを保存する場合には、書き込み回数が少なく済むこともあり、SDカードで問題ありません。一方で、防犯カメラやドライブレコーダーを利用する際は、書き込み回数が多いSSDを活用できるとベターです。ただしカメラによってはSDカードへのデータ保存を前提としたカメラも多いので、注意してください。

HDDは大容量でも比較的安く購入できる点がメリットです。ただ、耐衝撃性には弱いので、パソコンのデータを家で保管しておくなど、屋内で安置できる環境で利用することが推奨されます。

まとめ

本記事では、SDカード破損の原因の多くが、「書き込み回数の上限」であることを、SDカードにデータを保存する仕組みから解説しました。SDカードは小さく安価であることから、大変便利な記憶メディアですが、破損しやすい点がデメリットとなりますので、本記事でご紹介した対策を参考にしつつ、データを確実に保存いただければと思います。

アムニモのエッジゲートウェイ

アムニモでは防犯カメラの録画装置やネットワーク装置として活用可能な「エッジゲートウェイ」を販売しています。

SDカードではなくSSDを利用

多くの防犯カメラで利用されているSDカードは、実は常時録画には向いていない記録メディアです。そこで、アムニモのエッジゲートウェイではSSDに動画をストレージすることで、確実にデータを保管できるよう工夫しています。

データが保存できているのか遠隔から確認可能

アムニモのエッジゲートウェイは、ネットワーク端末として活用可能であるため、モバイル回線などのインターネットに接続して、遠隔地から簡単にデータを閲覧できます。機器が動き続けているのかも常時監視し、録画の予期せぬ停止など、異常が検知された際は自動で復旧し、管理者に異常を知らせることができます。そのため「気づいたら録画のデータが消えていた」といった不測の事態を防止できます。

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