ネットワークカメラ導入で注意したい規格「ONVIF(オンビフ)」とは?
ネットワークカメラ(IPカメラ)やビデオレコーダー等の機器には規格が存在します。そのひとつが、国内外のメーカーが多数参加する「ONVIF(オンビフ)」規格です。
ただし、複数の規格が競合していることに加え、ONVIFにも複数のバージョンがあります。ネットワークカメラ環境を導入する際や、防犯カメラを設置する際に注意すべき事柄のひとつとして、ONVIFについて解説していきましょう。
ONVIFとはどんな規格か
ONVIF(Open Network Video Interface Forum)は、ネットワークカメラを手掛けるアクシスやボッシュ、ソニーが立ち上げたネットワークカメラのインターフェースの互換性に関する国際標準規格です。
2018年8月には対応製品数が1万点を超えるなど、ネットワークカメラの運用でONVIF規格を無視できません。日本でも、この規格標準化を推進するフォーラムに、アクシスを買収したキヤノンやパナソニック、横河電機などが参加しています。
ONVIFの役割
ONVIFの役割は、インターフェースを規格化しオープンにすることで、準拠した製品の連携を円滑にします。機器の選択の幅が広がることで、異なるメーカーのネットワークカメラやビデオレコーダーが連携可能になるなど、映像ネットワークシステムを柔軟に構築できます。
また、ネットワークカメラによる情報の取得やイベントの検知、光学制御、PTZ(Pan、Tilt、Zoom)制御といったルールをONVIF規格で定めることで、ネットワークカメラなど関連機器をひとつのソフトウェアで制御可能になります。
具体的には、防犯カメラなどの用途で使用されるネットワークカメラにおいて、撮影した映像を外部の装置で録画する、外部のシステムから映像を閲覧する、PTZの制御や撮影する映像の解像度/フレームレート等を設定するなど、映像を利用したシステムにネットワークカメラを利用するための外部からの制御を実現するものです。
ONVIFのプロファイル
ネットワークカメラやビデオレコーダーなど、開発した各メーカーによって通信プロトコルなどが異なります。ONVIF規格はこれらメーカー毎に定められた仕組みを取り込む形で、仕様をアップデートしていきました。
規格が誕生した時にはVer.1.0、Ver.2.0、Ver.2.4などコア仕様で定義されていましたが、バージョンが異なると相互に通信できない問題が起こったのです。そこで、「プロファイル」という形で規格を分類し直しました。これにより上位互換性の確保が可能になったのです。
カメラによる撮影や映像ストリームの送信を制御するプロファイルS
プロファイルSは、ネットワークカメラやビデオエンコーダーに関して、IPネットワーク経由での映像のストリーミングを設定、要求、および制御できます。 また、このプロファイルでは、PTZ制御、音声およびメタデータストリームの受信、リレー出力についても規定されています。
録画に関する制御を行なうプロファイルG
プロファイルGは、IPネットワークを介してまたはデバイス自体にビデオデータを録画するための設定、および検索や再生などを制御できます。プロファイルGで実現している制御には、映像の録画設定や録画開始・停止などの制御、および音声およびメタデータストリームの受信もサポートされています 。
標準化されているプロファイル
プロファイル | 概要 | リリース年 |
---|---|---|
S | アクセス制御の設定など | 2012 |
C | サイト情報、イベント及びアラーム管理、ドアアクセス制御 | 2013 |
G | ビデオ録画やストレージ | 2014 |
Q | 簡易セットアップやクイックスタート、準拠デバイスの制御など | 2016 |
A | アクセス制御の設定 | 2017 |
T | H.265のサポート、モーション検知、メタデータ情報のストリーミングなど | 2018 |
D | アクセス制御周辺機器 | 2020 |
M | スマートアプリ用のメタデータ通信や解析のイベント処理 | 2020 |
ONVIFへの対応
各製品がどのプロファイルに準拠しているかどうかは、ONVIFの公式サイトで確認できます。
対応製品は非常に多い
現在、一般的に販売されている防犯カメラのうち、IPプロトコルで外部と接続されるものの大部分はONVIFプロファイルに対応しています。ほとんどの場合はプロファイルSには対応していますが、それ以外のプロトコルについてどれに対応しているかは個々の製品で差があります。一般に販売されている防犯カメラの場合、ONVIFのどのプロファイルに対応しているかを仕様一覧のなかで表示していることが一般的ですので、選定前に事前に確認するとよいでしょう。
ONVIFでカメラを制御するために使用されるソフトウェア
防犯カメラの外部で動作して、防犯カメラで撮影した映像に対して各種の制御を行なうソフトウェアを一般的にはVMS (Video Management System)と呼びます。このVMSは、一般的にはONVIFプロファイルをサポートしていて、ONVIFプロファイルに対応しているネットワークカメラと連携して、カメラで撮影した映像の録画や外部システムからの閲覧などを可能とします。
VMSをプレインストールしたアムニモのIoTデバイス
アムニモが販売しているエッジゲートウェイ(AGシリーズ)やAIエッジゲートウェイ(AXシリーズ)のデバイスは、2種類のVMSをプレインストールしています。これらのVMSは、ONVIFプロファイルに対応しており、ONVIFに対応したIPカメラと連携して、撮影された映像を活用することを可能にします。搭載されている2種類のVMSを紹介します。
Nx Witness:北米のNetwork Optix社が開発・販売するVMSであり、CPUに大きな負荷をかけずに動作することが特長。またWindowsのほかにLinuxに対応したソフトウェアも提供しており、比較的低機能のCPUを搭載したIoT機器でも動作することが可能なVMSである。
amnimo VMS:アムニモが独自に開発したVMSであり、基本的にはアムニモが提供するクラウド映像サービスである統合ビデオ管理システムと連携して動作する。機能を限定する代わりに、CPU負荷を少なくして軽量に動作することが特長のVMSである。
アムニモが販売するVMS搭載デバイスについては、以下のリンクにて詳細を知ることが可能です。
まとめ
ONVIF規格はメジャーなネットワークカメラ規格へと成長し、メーカーやユーザーの双方に大きな利便性をもたらしてきました。とはいえ、すべてのネットワークカメラや関連機器の網羅は困難であるため、どの機器が準拠しているかなどネットワークカメラ環境の導入には、専門家への相談が必要不可欠です。ユーザーが望む、ネットワークカメラのソリューションを提供してくれることでしょう。
高い信頼性と運用性に優れた自社開発のIoTデバイスとクラウドサービスを組み合わせ、先進の映像・IoT・AIソリューションの提供を通じ、IoTとAIでつながる世界に貢献していきます。コラムにて定期的にお役立ち情報をお届けします。