監視カメラの最適な録画方式とは?監視カメラの録画方法や記録媒体の違いを解説。
防犯や防災、警備の効率向上などさまざまな目的で、監視カメラの設置が進んでいます。監視カメラの導入を検討するうえで、どのような監視カメラにすればよいのか、自社に最適な録画方法、記録媒体は何か疑問にもたれる方もおられるのではないでしょうか。
監視カメラ本体や記録媒体など、その種類はさまざまであり、目的や設置場所に適したものを選ぶことが大切です。本記事では、監視カメラの録画方式や記録媒体による違いを解説します。
監視カメラが必要とされる背景と目的
監視カメラは商業施設、小売店舗、駅や踏切、車内などの交通インフラ、公園や多目的施設、学校や商店街などさまざまな場所に、主に防犯の目的で設置されています。また、河川や道路への防災目的での設置や、工場や発電インフラといった大規模な施設での設置も進んでいます。
それに伴い、監視カメラ自体も時代とともに進化し、性能や用途が非常に多様化してきました。
中国やイギリスなど、世界で最も進んだ防犯カメラ技術を持つ国々においては、犯罪の抑止や検挙、事件や事故の状況確認などの視点から、市街地や交通機関などで数多くの防犯カメラが設置されています。比較的治安の良い日本でも、近年は街中などに設置する防犯カメラの需要が増加しているのが現状です。
犯罪の抑止や事後対応などの防犯目的に加えて、設備の巡回監視を行う警備員や定期点検を行う電気技術者などの技術者不足を補う省人化・業務効率化の目的のほか、画像解析やAI活用による人流・行動分析を通じたマーケティングへの活用など、監視カメラの利用目的は多様化しています。
また、監視カメラの設置目的や設置場所の多様化に伴い、カメラの映像から得られるさまざまな情報を利活用する動きが、官民を問わず広がってきています。
しかし、実際にどのような方法で映像データの記録や保存を行っているかについては、詳しく知らない方も多いかもしれません。
次章では、監視カメラの録画方法をご紹介します。
監視カメラの録画方法
監視カメラの録画方法は主に「データ圧縮による録画」と「ミラーリング録画」の2種類があります。
録画におけるデータ圧縮方式
監視カメラで撮影した映像データは容量が大きいため、データを圧縮して録画するのが一般的です。標準的なビデオ圧縮方式には、Motion JPEG、MPEG-4、H.264、H.265の4つの方式があります。
圧縮効率の高い方式を選択することで、画質を維持したままストレージ容量を減らすことが可能となります。
圧縮効率は以下の順で高くなります。
Motion JPEG < MPEG-4 < H.264 < H.265
・Motion JPEG
Motion JPEGは、動画の各フレームの映像を、画像圧縮の方式であるJPEGにより圧縮する方法です。
JPEG画像(静止画)を連続で表示して、「パラパラ漫画」の原理で動画のように見せる仕組みです。JPEG以外の圧縮を行わないため画像が劣化せず高画質での記録が可能なため、フレームごとの映像を確認したい場合に適しています。
一方で、フレーム間の圧縮を行わないため、後述の3つよりも圧縮効率が低く、記録媒体の容量を多く消費してしまいます。
・MPEG-4
MPEG-4はMotion JPEGとは異なり、フレーム間での圧縮を行う方法です。主にインターネット上のサービスやコンテンツの標準的な動画形式として使われています。
MPEG-4は、動画のフレームの「変化する部分」と「変化しない部分」を検出し、その差分を保存する圧縮方式で、ハイビジョン映像以上の画質と高い圧縮率を両立できます。しかし、圧縮率が高くなるほど画質も劣化し、動きが速い映像では、ノイズが発生してしまうこともあるため、用途によっては注意が必要です。
・H.264
H.264は「MPEG-4 Part 10 AVC(Advanced Video Coding)」とも呼ばれ、MPEG-4から派生した最新のMPEG規格の動画圧縮方式です。MPEG-4と同様、動画ファイルの国際規格の一つとされています。ワンセグ放送や映像ソフト(Blu-ray)などでも採用されており、H.264の規格よりもファイルサイズを小さく圧縮できます。
・H.265
H.264の改良版で、インターネット動画配信サービスなどで採用される方式です。H.264の2倍に迫る高い圧縮率を実現しています。
次章では、監視カメラのデータ記録に使われる記録媒体について説明します。
監視カメラのデータ記録に使われる記録媒体
監視カメラで録画した映像を保存する記録媒体は大きく分けて4種類あります。
HDD(ハードディスクドライブ)
HDD(ハードディスクドライブ)は、監視カメラの主な記録媒体であり、大容量のデータを扱うのに適しているため、広く普及しています。また、大容量データの記録が比較的安価にできるため、パソコンやサーバーのデータ保存やテレビの録画などの記録媒体としても広く用いられています。ただし、サイズが大きくなってしまうことや振動に弱いというデメリットがあります。
SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)
SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)は、HDDと同じように使用できる記録媒体です。半導体メモリを使用しているため、HDDと比べて、以下のようなメリットがあります。
・衝撃や振動に強い
・サイズが小さい
・処理速度が速い
・動作音が静か
・消費電力が小さい
このため、屋外監視カメラへの利用などに適している一方で、HDDより価格が高く、データ容量の大きな媒体を導入しにくいことがデメリットです。
SDカード
SDカードは、着脱が可能な外付けの記録媒体です。非常にサイズが小さく、薄いので持ち運びしやすく、監視カメラでは街頭監視でよく使われています。また、スマートフォン・デジタルカメラ・ポータブルゲーム機にも使用されています。
抜き差しがしやすく安価なため、一時的に保存する媒体としてはコストパフォーマンスが高いといえますが、一般的なSDカードは長期間の利用には向いておらず、保存容量の小ささや壊れやすさといったデメリットがあります。
業務用としてSDカードに録画をする場合には、書き込み回数の制限値が拡大されて長期間利用が可能になったSLC方式やpSLC方式のSDカードの利用をおすすめします。
クラウド保存
クラウドは、インターネット上の保管場所であるクラウドに、録画データを保存する方式です。以下のようなメリットがあります。
・レコーダーが不要なためカメラ周辺のスペースを有効活用できる
・破壊や盗難・自然災害によるデータ消失の心配がない
・パソコンやスマートフォンなどから録画内容の確認ができる
一方で、クラウド保存のデメリットには、インターネット環境を整える必要があることや、クラウド利用や通信サービスの利用のための月額料金を支払う必要があることなどが挙げられます。
次章では、監視カメラの録画装置について説明します。
監視カメラの録画装置
監視カメラには映像を録画するための装置があり、大きくわけて2種類あります。
DVR(デジタルビデオレコーダー)
DVRは、アナログカメラで録画した映像をケーブルで接続して保存する装置です。アナログカメラの映像をデジタル映像に変えるために画質が低下しますDVR1台につき電源用と映像用の複数のケーブルが必要になる場合があるため、カメラの台数が多いと配線が煩雑になり、設置カ所に困るケースがあります。
NVR(ネットワークビデオレコーダー)
NVRは、監視カメラの映像を有線のLANケーブルや無線のWi-Fiを通じて保存する装置です。IPカメラによる録画映像をIPネットワーク経由で録画・再生することが可能であることと、デジタルデータであるため高画質です。監視カメラから離れたカ所に設置できるため、カメラやレコーダーの増設もしやすく遠隔監視に向いています。
最適な監視カメラの導入はアムニモへご相談ください
今回の記事では、監視カメラの録画方法や記録媒体の違いなどの今後、監視カメラを導入する際に知っておきたい技術的な仕組みについて解説しました。しかし、実際に自社に最適な監視カメラを選択することが難しいとされるお客様からのお悩みを当社では数多く伺っています。
アムニモでは、広域に展開する監視カメラの統一運用を可能にする製品を展開しております。利用目的に沿って複数のカメラの中から必要なデータのみを送信でき、モバイル回線の通信料を抑えつつ遠隔での映像監視を実現できる製品をご紹介しています。
防犯カメラ・監視カメラは「設置・録画する時代」から「映像データを活用する時代」へ
私たちの暮らしのさまざまな場所で利用されている防犯カメラ・監視カメラですが、抑止力として設置する時代から、映像データを活用する時代へとステージが変わってきています。
その背景には、カメラ性能(目)、インターネット・クラウド・無線通信技術(神経)、AIによる画像解析技術(脳)の飛躍的な向上があります。
アムニモは、過酷な環境にも耐え得るIoTゲートウェイ/ルーターと、IoTおよびカメラ運用に最適なクラウドサービスを組み合わせた映像ソリューションを、24時間265日、止まることが許されないカメラ運用を行うさまざまな業種の現場にご提供しています。
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